児童労働、フェアトレードを考える映画「バレンタイン一揆」

SDGsを学ぶ
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あさはた緑地のセンターハウスにて開催される「あさはたシネマ」。
SDGsを学べる映画を上映し、見た後は感想の共有やゲストスピーカーのお話を通して、より理解や考えを深めることができる場を提供しています。

今回の作品は「バレンタイン一揆」。

チョコレートの原材料であるカカオの生産において問題となる「児童労働」や「フェアトレード」をテーマとした作品です。
約1か月後には、多くのチョコレートが出回るバレンタインデー。
それを前に、甘いチョコレートに隠れる影について考えました。

あらすじ

日本の普通の女の子3人が、アフリカのガーナで出会ったのは、たくさんの子どもたちがカカオ農園で働かされ、学校に通うこともできない「児童労働」という現実だった。 バレンタインデーに、フェアトレードでつくられた、ほんとうに愛のあるチョコレートを、日本のみんなに選んでほしい。 そんな想いを胸に、彼女たちは動き出した。
イベントの名は、「バレンタイン一揆」。果たして、彼女たちの願いはみんなに届くのか。
――これは、児童労働の問題と出会い、悩み、闘った、日本の女の子たちの物語です。

「バレンタイン一揆」公式HPより引用

印象に残ったこと

映画前半ではガーナが抱える問題や、それらを改善していくための現地での活動が映し出され、後半では日本へ帰国後の活動の奮闘が映し出されていました。

ガーナにも日本にも共通する「教育不足」

私の意見としては、ガーナにも日本にも共通して「教育不足」という問題があると思います。

ガーナでは、親が教育を受けてこなかったからその重要性が伝わりにくく、子どもを学校へ行かせるより働かせてしまう。教育不足が引き起こす負の連鎖です。

日本では、物流がグローバルになったことにより、どんな影響が出ているのかを知らないままでいること。なぜ遥か遠くの国から運ばれたものの方が国産品より安いのか?それが当たり前に店に並ぶ日常にいると、その疑問さえ浮かばなくなります。企業や小売店が教えてくれるわけでもありません。物流はグローバルになったけど、私たちの思考がそれに追いついていないと感じました。

解決手段は「草の根活動」

ガーナで活動するNGO団体は、学校に行っているはずの時間に子どもを見かけたら声をかけ、親のところへ行き学校へ行かせるよう説得するという草の根活動をしていました。

なかなか理解してもらえなかったり、経済的に学校へ通わせることができないと言われたりなど、困難もありますが、子どもたちが学校へ通うようになって大人たちの考え方も変わり、改善が見られた村もあるそうです。

変わることができた彼らを支えられるのは、彼らが作った商品を選ぶことだと思います。

そのために、日本において必要なことは、こうした現状を伝え、商品を選ぶときにふと思い出してもらえるようなきっかけを作ることだと思います。もしかしたらその手段も「草の根活動」なのかもしれません。

家族や友人に「私はフェアトレードのものを選んでいるよ。買った人も作った人も幸せになれる商品って素敵だよね。」と伝えるだけでも、きっかけ作りになるのではないでしょうか。

全く知らない人に伝えるのは難しいですが、1人1人が伝えられる範囲で広め、多くの人が「そういえばそんな話があったなぁ」と思えるようになったら、児童労働の問題の解決につながると思います。

フェアトレードってどれぐらい流通しているの?

特定非営利法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの事業報告書(2021年度)によると、2021年は前年比約120%の158億円、1人当たりの年間購入額は126円でした。

市場規模および1人あたりの年間購入額は年々増えていますが、フェアトレード・インターナショナルの本部があるドイツと市場規模を比べると約18倍、1人当たりの年間購入額が最も多いスイスと比べると約108倍の差があり(2020年のデータを比較)、欧米諸国と比べるとまだまだ普及していないようです。

出典:フェアトレードジャパン公式HP「【2021年フェアトレード国内市場規模発表】国内フェアトレード市場規模158億円、昨年比120%と急拡大」より画像引用 

フェアトレードは高くて買えない?こんな商品はいかがでしょう

フェアトレードとそうでない商品が並べられたとき、値段が高いと感じたり、馴染みのない商品だから自分に合うかわからない、と思うかもしれません。

ですが最近は大手スーパーでフェアトレード商品のコーナーができたり、メジャーな企業がフェアトレード原料を取り入れるなど、取り扱う小売店が増えて身近で買えるようになったり、意外なものでもフェアトレードの商品が増えてきていると感じます。

大手メーカー・チェーン店で取り扱いのある例

  • イオンのプライベートブランド「トップバリュ」ならお手頃価格&近くのお店にあるかも
  • スパイスの大手メーカー「S&Bエスビー」なら品質にも外れなし
  • カルディ、成城石井など輸入食品店やコンビニでも取り扱いがある場合も

←ヱスビー食品の詰め替え用ブラックペッパー。

ちょっとお高め(たしか税抜き¥198)ではあるけど、頻繁に買うわけでもない&消費も早いわけではないので、「これくらいなら買える」と思った商品です。

売り上げの一部を支援活動にしている取り組みもある

森永製菓の「1チョコfor1スマイル」という活動は、対象商品の売り上げの一部を使って支援を行っています。各メーカー、様々な取り組みをしているので、パッケージなどを確認して商品を選ぶのもいいかもしれません。

原産地がはっきりしているものを選ぶという手段も

ものによって「国産」が選択肢にあるのならば、それを選ぶということも「児童労働」には加担しないことにつながると思います。

チョコレートやコーヒー、バナナは難しいですが、紅茶やワイン、胡麻やはちみつ・ジャムなどは国産のものもあります。

まとめ:大事なのは「知る」こと、消費者の意識が企業を変える

私自身、すべてのものをフェアトレードに切り替えるのはハードルが高いと感じます。

それは値段が高いということもありますし、どこに「児童労働」や「不公正な取引」が潜んでいるのかがわからない、フェアトレードの商品を探しているけど見つからない、といったこともあるからです。

しかしだからと言って何もできないわけではなく、気になった企業のHPを調べたり、言及がなければ問い合わせるという方法もあります。

消費者が原産国のことに興味があることを企業にアピールすることも、フェアトレードへの重要な1歩だよね、という考えが、一緒に映画を見た方々とも共有ができました。

「バレンタイン一揆」では、日本に帰国した女の子たちが銀座で「バレンタインにはフェアトレードのチョコレートを!」と呼びかける運動をしていました。

私も、自分のできる範囲で、自分のできるやり方で、フェアトレードの発信ができたらと思います。

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